神森(かんもり)神社
坪生荘13ヵ村の総鎮守であった新中八幡社が分裂したあとの天文6年(1537)、
当時の支配者・坪生氏と支族陶山氏が筑前(福岡県)香椎(かしい)宮より勧請、
創建したと伝える(福山志料)。
祭神は息長足姫命(オキナガタラシヒメノミコト)、すなわ仲哀天皇の后・神功(じんぐう)
皇后(201年〜上古・神話時代)と、その臣・武内宿弥(タケノウチノスクネ)を祠る。
社殿、絵馬堂には、明治6、14、28、39年付の極彩色絵馬が奉納されており、
武勇を愛(め)でる明治の気風がうかがえる。
本殿屋根は、「香椎(かしい)造り」と呼ぶ独特のもので、トタン屋根で覆われていた、
その下、杉皮葺きの部分は嘉永2年(1849)再建のもの。小麦わら補修部分は、
明治12年との記録がある。
平成9年3月、本殿の屋根改修を発端に始まった平成の大改修が完成。
古色蒼然としたかつての神森さんの森は大変身、すっかり若返った。
見どころは、永年トタンで覆われていた本殿の原型復元が実現し、香椎(かしい)
造りの華麗な四方よせ棟が見事に蘇ったことである。
また、「福山城の用材をもらい受けた」と伝えるアスナロの木が使われ、
「室町様式を随所に遺している」と評価の高い、本殿の建築様式は、実に味わいがある。
大祭は10月10日。祭日当日は、五社詣りとして艮明神、田中明神、チキリ権現、
青木の十二神社、大塚荒神をめぐる。