古文書解読講座を31年間
◆草創期…『古文書解読講座』を定着
私が西楽寺に入寺したのが、昭和52年9月。新聞記事で見つけた、福山市民図書館での『古文書解読講座』に、翌年4月から通い始めた。
初日の講座で偶然、のち古文書解読講座の初代会長となる内山茂之氏と出逢った。西楽寺の檀家であり、高校の国漢教師OBだった。夜の講座であり、私は内山氏の送迎担当を自認。同時に、専属の家庭教師を得たような贅沢な3年間を過ごした。
昭和56年3月、講座を修了。私はそのまま、福山城博物館友の会古文書部の“4期生ゼミ”に昇格。内山氏は、「毎週、お城にはよう通わん。
地元で古文書解読講座の講師をやってくれんか」と要請され、「受け売りでよければ」、と引き受けた。呼びかけに、地元在住の教師OBを中心に10人が集まった。
◆昭和60年代…坪生地域のガイドブックを作成
昭和52年入寺以来、私が坪生町について、地域の長老から聞き取った資料を基に説明文を編集、史跡などの「たずね歩きポイント」への説明標識の設置と同時に、
ガイドブックを発刊した。
さらに、坪生地域の写真を集めた『坪生がわかる写真館』を発行したほか、『シリーズ・自分史で語る“坪生の100年史”』を、5年連続発刊するなど、出版活動に精力的に取り組んだ。
これらの事業費を確保するために、賛助会員に協力を呼びかけ、学区全体に存在をPRしていった。
◆総合学習や里山再生活動も
平成4年ころからは、坪生小学校の児童を対象に郷土史研究会のメンバーが、地域の歴史などを説明する「坪生たずね歩きガイド」が始まり、次第に定着した。
同15年からは、坪生小学校の『総合学習』に組み込まれ、担当教諭との事前打ち合わせなど、担当会員の懸命な取り組みが継続している。
現在のテーマは、@歴史探訪(6年生)A野菜づくり(5年生)Bため池学習(4年生)C昔の暮らし(3年生)Dお米づくり(2年生)──などである。
さらに当研究会は、本来の郷土史研究のほか、今では里山の再生や環境保全にも活動分野を広げており、その成果は坪生盆地を取り巻く里山の頂上付近に泳ぐ鯉のぼりが、里山整備によって3ヶ所に増えたことにも表われている。
つぼう郷土史研究会の纉c定・現会長は八代目。78歳だが、草刈り機、時にはチェーンソーを肩にして先頭に立つという、元気者である。
◆31年間続いた古文書解読講座
会創立から31年間、月例会は一回の休みもなくこなしてきた。
私が用意する資料は、
@一ヶ月分の、新聞各紙(全国紙2紙、地方紙2紙)からの、考古・歴史、環境問題、街づくり運動にテーマを
絞った切り抜き
A古文書(できるだけ地元の)解読資料
B 会員、会員外からの提供資料
―である。
月例会を基本に据え、身近な古文書を学びながら、話題、視線は全国に。学習と野外活動を織り交ぜた『つぼう郷土史研究会』は、肩肘張らない、地域力が原動力なのである。
※
[財団法人地域活性化センター発行の『地域づくり3月号特集H24年度地域づくり総務大臣表彰』22ページに収録された寄稿文を、全文再録しました=内藤]