地蔵堂
地蔵とは、「母なる大地の如く、万物を平等に育成し成就せしめる偉大な力を蔵している」の意。
「ありとあらゆるものを助ける」の意から、多くは道端にたたずむ。
このお地蔵さんも県境にたたずむ。固有の名は伝わっていないが、
石彫刻字を見ると、弥陀・観音・勢至の三尊を表す梵字の下に、
『奉納大乗妙典六十六部供養塔 天明8年11月 願主坪生村慈照』と記されている。
天明年間(1781〜1788)の備後地方は、気候不順から大凶作に見舞われ、
「天明一揆」が吹き荒れた年である。疫病、あるいは一揆として鋒起し犠牲となった人たちへの、
供養の石仏かと思える。