水無瀬山 西楽寺(みなせざん さいらくじ)
天平年中(729〜748)行基菩薩の開創、と寺伝に記す。
のち坪生氏の祖先菩提寺として弘安4年(1281)、支族陶山氏により再建された(福山志料)。
現在の本堂は、昭和の初め手城町庵ノ下の益本屋(土屋家)住宅を移築したもので、
江戸末期の庄屋建築を示す貴重な建物である。
高野山真言宗、本尊は薬師如来。
室町時代の作といわれる「弘法大師像」「釈迦二十二部衆像」「両部曼荼羅」
計4幅の仏画は、市重文に指定されている。
昭和2年の「坪生村郷土史」には、『弘安4年陶山勘兵氏建立。宗の高僧が来たり、
初代の住持となる。今日で23代目』と記す。とすると、現住職は26世となる。
明け六つ、暮れ六つに打ち鳴らされる今の鐘は、昭和24年製。第二次大戦に供出された、
“先代の鐘”について同書は、『明治12年2月黒坂にて鋳る。120貫目、円周大人2人位』
と記している。
また、偉容を誇る松の木は、推定樹齢約200〜250年とみられる。
近年の急速な松枯れ被害で、ここ10年ほどの間に10数本を失ったが、形、樹高といい、
現在のクロマツ1本は貴重な銘木といえよう。