市史跡「滑池の古代窯跡」
坪生には、井ノ木、中山、江戸野、葉座にかけ、青白色粘土層が通っており、
昔から大甕(がめ)、壷(つぼ)、布目瓦の出土例が伝えられていた。
昭和57年2月、向かい岸突端部(字新中(しんちゅう))周辺の水辺から、
大量の甕(かめ)や壷(つぼ)の破片が採取された。
ここから南へ約五百メートルの、字鎌山(かまやま)からは、
布目瓦や土器片が集中して出土している。これは奈良国立文化財研究所による抽出調査で、
平安京の建物に使われていたことが判明した(昭和61年3月)が、
この滑池から採取された土器片は、『鎌山から出土したものと比べて明らかにもっと古い、
奈良時代から平安にかけてのもの』(同)と、評価が高い。
「坪生ニュータウン(357画)」として売り出されている一角、
滑池辺り470平方メートルが市史跡に指定されたのは、平成9年7月。市への要望が実ったきっかけとなった、
うち250平方メートルを市に寄贈された坪生町中山在住の吉本振作さんの決断を讃えたい。
現在は芝生が敷かれ、フェンスに囲まれているが、本格調査とともに、
登り窯として復元され臨地研修の場となる日を期待したい。